『Noctis Labyrinthus』野村康生
       
     
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『Noctis Labyrinthus』野村康生
       
     
『Noctis Labyrinthus』野村康生

No.7 2017/5/20 @hpgrp GALLERY TOKYO:Dimensionism

この作品は、x,y,z軸で表される3次元の空間情報に加え、時間の運動をw軸として加えた4次元分の情報を、絵画という2次元に入れ込んだ作品。

3次元の素材としては、人類がまだ体感していない(データでしか存在しない)火星の地表データを等高線として採用し、4次元目の素材としては、黄金比の長方形から切り取る正方形が対辺に移動する時間の運動を軌跡をプロットして取り込んでいる。

タイトルにもなっている「ノクティス・ラビリントス(夜の迷宮)」とは、NASAがテラフォーミングを計画している火星のエリアにある渓谷の名前で、手探りで高次元を探る人類のフェーズとの相似性を込めて、実際にその場所の地表データが使用されている。

この作品はコミッションワークとして制作を依頼したもので、コンセプトの粋だけを研ぎ澄ましたような思い切りエッジィなものにすべく、他作品にあったライティング効果を演出するラメ要素を除き、色味も最もストイックにレイヤー感を感じられるよう黒地にシルバーのラインで仕上げてもらった。

絵画というメディアは、風景の奥行き(パースペクティブ)という3次元を圧縮して2次元にする次元操作の芸術であるが、この作品ではさらに次元を加えて4次元分の情報を圧縮している。この先、さらに5次元6次元とより高次元の情報を圧縮して知覚できるようになれば、人類は高次元空間を新たなフロンティアとして獲得できるかも知れない。そうなったいつかの未来に、この作品がターニングポイントのひとつとして刻まれることを夢見ている。

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